記憶装置

外部出力先として

看る夢Ⅱ

王道に従おう

 

ろくにプロットを構築することなく動画を作り始め、結果早い段階で挫折した…という話は看る夢Ⅰでした通りだ。2冊の本に出会い、再起を誓ったことも。

 

本には、王道な映画に見られる「お決まりのパターン」についての説明が記載されていた。

本の中身を丸々引用するわけにはいかないからある程度ぼかして書かせてもらうが、多くの人に支持される映画というものは、おおむね次のように展開されるらしい。

 

①オープニング<主人公は現状に不満を持っている>

②物語に挑戦が与えられる<主人公は一歩を踏み出そうとする>

③悩みと葛藤<主人公は拒否をする>

④大きなきっかけと進展<主人公は手ほどきを受ける>

⑤静かな流れ<主人公は小さな成功を積み重ねる>

⑥成功と明るい未来<主人公は成功するが、現状の不満とは完全に向き合っていない>

⑦不穏な流れ<主人公は驕りまたは現状の不満により転落する>

⑧大失敗<主人公は己と対話し、不満と対峙する>

⑨救い<不満に打ち勝った主人公はすべてを手に入れる>

⑩エンディング

 

物語の流れとともに、主人公の動きを<>内で表した。

 

こうして眺めてみると、なるほどと合点がいく方も多いのではないのだろうか。

王道中の王道と言われるディズニー映画に当てはめてみるとわかりやすい。アラジンでも白雪姫でもシュガーラッシュでも、だいたい上の流れに沿っているはずだ。

勿論ディズニーに限らない。コメディ映画のキューティブロンド、アクション映画のダイハード…ジャンルの枠なんて関係なく、先述のパターンに当てはまるものを挙げ始めればキリがない。

有名どころ・名作と言われる映画を思い出してみると、ものの見事に「お決まりのパターン」に(多少の順番の違いやヌケはあっても)当てはまっていることがわかるのである。

 

 

パズルとサイエンス

 

このパターンこそ自分の欲しかったヒント、いや答えそのものだった。

こんな素晴らしい情報を手に入れてしまったら、自分のストーリー作りに使わない手はない。

さっそく上記のパターンを、中盤がすっぽり抜けた状態の「琴葉葵の看る夢は」に重ね合わせてみよう。

 

①茜が盲目になる<葵は茜が嫌い、だが原因は忘れていて思い出したい>

②手を繋いでダイブできることを知る<自分の過去を知りたい>

悩みと葛藤主人公は拒否をする

大きなきっかけと進展主人公は手ほどきを受ける

静かな流れ主人公は小さな成功を積み重ねる

成功と明るい未来主人公は成功するが、現状の不満とは完全に向き合っていない

不穏な流れ主人公は驕りまたは現状の不満により転落する

大失敗主人公は己と対話し、不満と対峙する

⑨茜は葵に救われる<同左>

⑩エンディング(合わせてずんきりも救う)

 

赤字部分が何も決まっていない部分。書き出してみて改めてわかるが、ほぼ全部に色がついてしまっている。

こんな状況で動画作りを開始するとはとんでもない話である……が、最初と最後だけはしっかり考えていたからか、あるいは自分が王道好きという性格が作風に出たおかげか、黒字部分のリライトは不要のようで一安心だ。物語のバックボーンと離着陸はそのままに、中盤を膨らませることに注力すればいい。

物語のの膨らませ方、すなわちどう話を転がせばいいかは赤字の通りだ。あとは今まで作り上げたキャラクターとストーリーをどう当てはめていくかのパズルゲームになる。

 

④の手ほどき役は、医師であるずん子先生が相応しい。

⑧は大失敗=茜が精神崩壊するのに合わせ、葵が真実を知り茜を真に助けたいと思わせるのが良い。そうだ、いっそ葵も失明させてしまおう。このストーリーにおいて最も苦しんでいる茜と同じ症状を、葵が共有するのだ。葵は視聴者の視点でもあるから、より感情移入もしやすくなるだろう。

とすると⑥の成功は、少しだけ目が見えるようになった茜を描写してぬか喜びさせようか。葵はその現状に満足し、過去を知る是非に葛藤しつつも真実なんか知らなくていいと喋らせてしまうのはどうだろう。

並行して、ミスリード役のゆかりをこの物語に織り込む。⑦は茜に近づく謎の人物としてゆかりを示唆、さらには夜の病棟で葵と衝突するようにして、ゆかりが悪役であるかのように視聴者に思い込ませてやろう。

遡って③~⑤、ずん子の手ほどきとゆかりの怪しさを増幅させていきながら、葵は過去を思い出していく過程と、共感覚(赤が見えるようになる)の復活を描く。記憶を取り戻す流れはエピソードでの回想を複数回挟むことにして、茜への想いも募らせていけばよいだろう。

 

ここまで考えたところで、改めて①~⑩を埋めていく。

 

①茜が盲目になる<葵は茜が嫌い、だが原因は忘れていて思い出したい>

②手を繋いでダイブできることを知る<自分の過去を知りたい>

③自分のため?姉のため?答えの出ないままなんとなくダイブを続ける<素直になれないそぶり、過去を知りたいだけとうそぶく>

④葵の共感覚の復活<ずん子のてほどきと怪しいゆかり>

⑤茜と葵の少しずつの変化<過去を思い出していく、いい思い出もある>

⑥双子の和解<記憶が蘇らなくてもいい。怪しさ満点のゆかり>

⑦茜に近づく謎の人物?<調子に乗ってミスを犯す・ゆかりが正体を現す>

⑧茜の精神崩壊<茜に救われた過去を思い出し葵も失明する>

⑨茜は葵に救われる<同左>

⑩エンディング(合わせてずんきりも救う)

 

お見事!お決まりのパターンというサイエンスに忠実に則ってパズルゲームを組み立てただけで、投稿した動画とほとんど変わらない流れが出来てしまった。

あとはそれぞれの番号に対し、ストーリーの肉付けと過去エピソードの配置といった交通整理を行ってあげれば、「琴葉葵の看る夢は」を完成させることが出来る。

このとき覚えた達成感は(まだ完成してもいないのだけど)、何物にも代えがたかったことを覚えている。はじめて、胸を張って物語といえるものを作ることが出来る希望に満ち溢れながら、上のパターンに沿って①~⑩のエクセルシートを10個作り、そこに会話劇をガリガリ作成していった。

 

以下、1話分だけ当時のエクセルを引用してみる。とても恥ずかしいが折角なのでこれも原文ママ、キャラ崩壊等は無視して読んでいただきたい。

 

  シナリオ 視聴者が考えるだろう事/作り手の目的 備考
導入 あおい:これは姉との思い出話、そして懺悔のお話 写真を持ちながら 姉との思い出話が始まる 赤文字は8話への伏線。伏線だとばれないように注意して描写する。
OP あかね:(暗転時セリフ)うちのてにぎってくれるか?/うちはずーっとあおいのみかたやからな。 なんか喋ってる  
学校 ゆかりから電話 あおい「え、姉さんが通り魔に襲われて失明?」 マジかよ失明か  
入院初日 月曜日    
病院に来る ゆ:茜ちゃん葵ちゃんが来てくれたよ
葵:姉さん…
茜:あおいどこ…?ここ…?しゃべって
葵:…(なんやこいつって顔)
ずんこ:医者のずんこです。それにしても通り魔に襲われたとか大変ね。ゆかりとあかねで帰ってて良かったね。おはなしがありますんで別室来てね
どうやら葵は茜とは仲が悪いようだな  
医務室 ず:おねえさんは心因性視覚障害です、そのうち見えると思うよ。似たような患者見てきてるわー。
ゆかり、余計なことを言うなとでもいいたげに顔をしかめる
心因性視覚障害、そういうのもあるのか  
入院部屋 葵:よかったねねえさん目が見えるってさ
茜:なんかつめたいなー
ゆ:ていうか二人ともまだ仲直りしてないの?
葵:ゆかりさんには関係ないでしょ!
ゆ:なんやねんその態度。ごめんかえるわ
葵:ほら怒って帰っちゃったじゃん
茜:いやいやうちのせいじゃないでしょ、つか思いだしたの?仲が悪くなったあのときのこと…
葵:思い出せないっつってんだろ。中学時代の記憶ほとんどねーわ。聞いても教えてくれねージャンお前
茜:いや思い出せないならいいんだわ。ずっと葵の味方やから。
葵:なにいってんだこいつ。つか帰っていい?あたしあんたらと違って進学校だから忙しいんだわ。
茜:まーでもめっちゃ喋って嬉しいわ高校入って以来じゃね? なあ盲目の私のお願い聞いてほしい、手を繋いで寝ようや。
葵:しょうがねーな。あ。。。あったかい。。。眠くなってきたな・・・
やっぱり仲が悪いんだな。
中学時代に何かあったのか?トラウマ的なことがあって全部忘れてる?
葵だけ進学校?何故?トラウマから避けるため?
悪いのは葵?茜?ゆかりという線もあるな…。
 
廊下 ず:さきほどはごめんなさいゆかりさん。今入院検査していて、かつさっき話題に出したのはあなたの親友、マキちゃんでしたもんね。ゆかりさんが一番辛いでしょう。ご友人二人を心因性視覚障害とは…。
ゆ:ずん子先生いいんです。それより、あおいちゃんがマキちゃんのこと覚えてなさそうだったのが…少し寂しいかな。
ず;マキちゃんにも、言わない方がいいでしょう。心労を増やしちゃダメですからね?
はい。
マキちゃん、大丈夫? もっと近づく? ほら、私がついてるから。頑張ろうね。
8話に挿入。ここは時系列的備忘録。  
ゲーム世界 歩いて音反射。危険なトラップや敵は赤い音で表現される。赤い音を見るや、あおいは泣き叫ぶ。「色は友達」「赤は嘘赤は危険赤は敵」「大丈夫だよお姉ちゃん私は一人で生きていけるから」 葵は赤い音にトラウマを抱えている?
このゲーム世界は何?姉が失明しているのにかけている?
 
記憶 目くるめく過去の記憶(今後思い出していくトラウマのセリフ群)+茜(嘘という背景+赤い光つき)「ずーーーーっといっしょやからなあ?」 茜が葵に嘘をついて、それがトラウマになっている?  
起きる 葵:うわああ!最悪。もう帰ろ。つか姉さん爆睡してるし。…また赤い音見えだしたりしないよね? 赤い音が見えだす…過去は見えていたということ?  
翌朝 葵:なんか眠れんかったわ
病院から連絡来るかなって思ったけど自分の携帯にも姉の携帯(謎のストラップ付)にも連絡なしか
ここでバイクの音+クラクションSE。あぶね!葵よける。
葵:あ、やっぱ赤い音見えてねーわ。
しかしまあ…なんで見えだしたのかね。
もしかして手を繋いだら見えるようになったりして。
ていうか姉さんと手を繋いで寝たら中学時代の記憶蘇ったりして。
危ない時にも赤い音が見える?
手を繋いで寝るってのがキー?
 
次回予告 私…中学時代の記憶がほとんど思い出せないんです。
最後の記憶は…姉さんには二度と頼らない、と泣き叫んだことだけ。
   

 

 こんな感じのものを作成し、王道パターンに逸れないよう細かい部分を修正していく作業を、空いた時間に行っていた。

 

 

 

さて、ここで少し脇道にそれて、見出しの「パズルとサイエンス」について触れよう。

2冊の本にも書いてあったし、脚本の先生も仰っていたが、およそ脚本というのはパズルとサイエンスで成り立っているのだそうだ。

キャラクターが独り歩きして物語を作り出すというのは高名な小説家でもない限りあり得ない。だから自分が凡人だと思うなら、パズルとサイエンスに忠実に則るべし。

看る夢を投稿して2年以上経つが、凡人の自分は、今もこの展開を常に意識してストーリーを構築している。物語を作る上でパターンに従うのが結局のところ楽だから、というのもあるのだが、それだけではない。

色々な小説や映画を呼んで、自分は王道が好きなのだと確信したからだ。

皆さんはどうだろう?

陳腐と言われようと、「誰かが苦しんでいるのを助ける主人公の物語」は、なんだかんだで好きじゃないだろうか?

そんな主人公が諦めずに頑張って、結果全員がハッピーエンド。終わり良ければ総て良しじゃないけれど、小気味いい読後感で終わるのがベストじゃないだろうか?

 

 …全員が、ハッピーエンド?

 

 

戻って⑩を確認してほしい。誰か足りないんじゃなかろうか?

 

 

ご明察である。ここにはまだ、ゆかマキについて書かれていない。

 

実はプロットがほぼ完成した段階でもなお、ゆかマキの存在がただの舞台装置に過ぎず、最後をしっかりと描き切るつもりはなかったのだ。

ゆかりはマキを助けて終わる。ただそれだけを示すだけで、ゆかりがマキへ寄せていた想いや、ゆかり自身の心情の吐露など考えてもいなかった。

 

ではいつの段階で、あの最終話を思いついたのか?

 

 

それは9話最後、SPECIAL THANKSでご紹介した方々のお力添えあってのことであった。

 

 

 

 

他人様の意見は値千金

 

SPECIAL THANKSとして名前を挙げさせていただいているうち、「全体確認」となっている2人がいる。彼らはいわゆるリア友、15年来の友人である。

彼らには、実は1話から9話まで動画が完成するたびに、都度視聴してもらいアンケート記入をお願いしていた。

「このストーリーは今後どうなると思うか」「葵、茜、その他キャラクターの心情は理解できるものだったか」「キャラクターの性格は一貫しているか」「どこが伏線だと思うか」「物足りないと思う部分はどこか」等々、作り手が知りたいことをこれでもかというほど質問した。

面白かったのは伏線に関する回答。ミスリードに見事に引っかかってくれた時は気分が良かったし、ラストへのカタルシス・盛り上げ方へのヒントにも繋がった。

有益だったのは物足りない部分についての回答。

「ずん子先生に白衣の差分が欲しい(実は白衣差分は最初考えていなかった!)」「字幕が見づらい」という視覚要素の指摘、「ゲームパートからいきなりストーリーが始まるのは唐突感があるからやめてほしい」「回想と現実のパートの順序がわかりづらい」「メリハリがないとダレる」といった構成の指摘、「ラストは続きが気になる終わり方にしてほしい」といったヒキについての指摘…。

「セリフ回しを工夫しろ」「途中から平凡な姉妹になりすぎて毒舌葵がいなくなっていて没個性になっている」「フィクションとはいえずん子先生がスーパードクターすぎる」などズタボロに言われたこともあったが、適宜取捨選択をしながら2人の意見を動画の中に大いに取り込ませてもらった。

2冊の本にも書いてあったが、他人様のツッコミほど有益なものはない(脚本の先生という存在自体がそれを物語っているのは言うまでもないことだろう)。①~⑩の流れはあくまで基礎中の基礎で、王道から大きく踏み外さないだけの保証しかしてくれないのだ。そこからどう視聴者を引き込めるのかは作者の腕の見せ所なのだろうが、プロの作家にも編集(という名の批評家)がいるように、そのためには客観的意見を貰うことが最大のアドバイスになる。それは独善的になりがちなストーリーのバランスを取る上で重要だし、自分の知見を広げることにも繋がる。何より、手を抜いて作った部分や突っ込まれて痛い部分を的確に抉ってくるため、自分の作ったモノに真摯に向き合うという意味でも非常に良い反省になる。

しつこいようだが、他人様の意見を頂戴できる環境にあるのなら絶対にお願いしたほうがいい、飯を奢ってでもだ。必ず自分の作品を美しく磨き上げてくれる。セイカよ成果は如何程か、でも複数人に視聴いただき指摘を貰って修正を行ったわけだが、失うものは羞恥心だけだ。むしろそんなものは取っ払った方がいい、動画投稿者なのならば。

 

…と、ここまで長々と書いたわけだから、当然これを読んでいる方々は「じゃああのゆかマキのストーリーについてもその友人2人から指摘を受けたんだろう」と思っただろう。

だが違う。申し訳ないのだが、9話のほとんどがゆかマキになったのは2人のおかげではない。

 

あの9話を思いつくことが出来たのは、実は支援絵を頂戴し、ラストのイラストでも大変お世話になった方のお力である。それについて触れよう。

支援絵を頂いてからとんとん拍子で直接お会いすることになり、もしよかったらラスト絵をと不躾なお願いをしたのが2017年12月末。

5話を投稿したあたりだったろうか。前述の通りストーリーはほぼ最後まで出来ていたので、プロトタイプの動画を見ていただいたところイラストの納品を快諾いただいた。それから数週間後、8話の姉妹絵とエンディングイラストを送付いただいたところで、ゆかマキのみのイラストも追加どうでしょうかと提案があった。

そのイラストは8話のラストに掲載させていただいているが、このイラストが自分の心と涙腺に大きな衝撃を与えたのだ。

 

彼女たちを幸せにしないでどうする? 裏で葵以上に頑張ったゆかりの心情を描かないなんて、もったいなさすぎるじゃないか。

画質が劣化しない30分59秒ギリギリまで使って、出来る限り9話の中にゆかマキのストーリーを作らなくては駄目だろう。なるべく急ぎ目で、しかし見せるべきところはしっかり見せたうえで…。

出来る範囲で、最終話をリメイクするのだ。しなくちゃならない!

 

以下、テキストデータの引用。

 

〇重要

 

 ゆかりも、姉妹へ何もしてあげられなかったこと、マキに対しても何もしてあげられなかったことの劣等感を抱えている
そのことをPART8で描いてあげる

PART9では、ずん子から「楔となれ」と言われたことも含め、自分に自信がつき、何度夢の世界で失敗してもマキを助けることを誓う

このくだりがあるのとないのとでは大違い

 

素晴らしいイラストを複数枚も頂戴してしまい、それだけで死ぬほど嬉しかった。だがそれにとどまらず、そのイラストがストーリーをより良いものに変えてくれたわけである。

あの9話の構成が決まったのは、実は7話の投稿が終わったあたりだったりする。結構ギリギリだったのだ。

ストーリーを見て描いていただいたイラスト、イラストを見て思いついたストーリー…生意気なことを言うが、双方向に良い刺激を与え合う合作の醍醐味を味わえたと言ってもいいかもしれない。そんな瞬間を味わえたことについては本当に感謝してもしきれないし、製作者冥利に尽きるというものだ。この場を借りて改めて、お礼申し上げたい。本当にありがとうございました。

 

もちろん、文句を言わずいつも差分を書いてくれる彼や支援絵を描いてくださった方、感想文をくれた方、動画を見てくれた方すべてに感謝しています。それはもちろんそうなのだけれども、特にストーリーへの刺激をくれた皆様については書き残しておきたくて、こうなりました。

 

看る夢を作って一番感動したのは、間違いなく自分なのです。

 

 

反省と結び、そして

 

 

ここまで読んでいただいて8千字弱、少々長くなってしまったが、もうちょっとだけ書かせてほしい。

 

それは看る夢についてのダメ出しだ。

「作者は自分の作品を貶めるな、それはファンを否定しているのと同じ」とよく言われるが、貶すのではなく反省という意味で、「ここはこうした方が良かった」「ここはこう描きたかった」というのを数個紹介して終わりたい。

 

〇ゆかり超人説

 これは9話の見せ方が悪かった。何百回失敗してもゆかりはマキを助けるために諦めなかった、というのを示せればよかったのだが、先述の通り詰め込めるだけ詰め込んでギリギリ30分59秒、時間が足りなかった。

 深夜の病院で葵と激突するときゆかりが寝不足の顔をしているのは、彼女が疲労困憊なのを表現したつもりだったのだが、視聴者には伝わりにくかったようだ。結果、赤色が見えなくてもマキを助け出したゆかりは超人という印象を植え付けさせてしまったかもしれない。

 

〇茜失明のきっかけである暴力事件

 看る夢Ⅰでも書いた通り、初期は単なるダークサイド物を考えていて、その設定をそのまま引っ張ってきてしまった。舞台装置とはいえ嫌悪感を覚える人はいるだろうなと思ったが、舞台装置だからこそどうにでもなるわけで、そこは配慮すべきだった点だと思う。実際、ミスリードのためだけにわざわざ暴力沙汰に巻き込まれたという設定にしなくても良かったはずだ。

 

〇マキの母やいじめっ子といった悪役の存在

 例えば京町セイカや水奈瀬コウを出してきて悪役にしてもよかった。だが、名前付きのボイロキャラクターをそのまま悪役に配するのは、そのキャラクターが好きな人に対して申し訳ないという思いがあって、出来なかった。

その結果「声だけ借りたモブ」が出来上がったわけだが…これについては、いまだに正解がわからない。

個人的には、ボイロキャラクターは全員俳優で、キャスティングするのが自分というような感覚でいる。だから主人公も悪役も、なんでも好きに配役すればいいのだろうとは思うのだが…。

 

〇最後、きりたんはどうなったのか?

 答えは作中に示してある。エコー付きの声が意味するものは何か。

 

 

以上、取り留めのないものになってしまったが、看る夢について吐き出したいものはすべて吐き出せた。質問箱で良く聞かれた質問にも答えた。もう十分だろう。

ここまで読んでくださった方には深くお礼申し上げたい。自分の想いを書きなぐっただけに過ぎないのだが、何か少しでも得るものがあったのならそれに勝る喜びはないし、動画を見ていただいて暇つぶしになったのならまこと幸いである。

 

 

そしてこれは完全に私事であるが、めうめうおじさんは近いうちにめうめうおとうさんになることになった。

仕事はもちろん家事全般を自分が引き受けているので動画を作る余裕もなく、出産後1年はパソコンに触れることすらできないと思われる。

 

ボイロをいじくりまわせないのは残念だが、通勤の時間にテキストを打ちこむのを辞めるつもりもない。

 

次の更新がいつになるかはわからないが、皆様もお体ご自愛いただきつつ、どうぞよしなに、というわけだ。

 

 

 

 

 

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